「お骨は自然と土に還るから散骨すれば大丈夫ですよね」よく聞かれるご質問です。
お骨の主成分はリン酸カルシウムと炭素から出来ていますが、土葬・焼骨に関わらずアルカリ性の強い土壌ではお骨が土に還ることは難しいです。日本は火山国なので酸性の土壌であるため土葬の場合には土に還ることも多いのですが、過去又は現在海に近い土壌が残る地域(特に貝塚が残るような地域はほぼ無理です)ではやはり還りません。焼骨の場合は成分が変わるので特に難しくなります。
土に還したい場合は酸化と微生物分解により溶けやすいよう粉骨して火山性土壌の地域にまくことで数十年かかりますが還すことは可能なようです(学術データは余りないですが)。
もう一つ「骨壺の中の水で溶けてしまうでしょ」という質問もあります。
これもYES/NOは難しい答えです。確かにカロート(骨室)内の湿度が高い場合に骨壺内との温度差で結露した水が溜ってゆき水没するケースは非常に多く見られます。こうなるとお骨が脆くなり骨形状を保つことが出来ず細かい骨辺に少しづつ変わってゆきます。でも結論から言うと完全には溶けないです。部分的に堅いお骨が残っていて、将来的に手元供養や樹木葬や海洋散骨などには適さないので結局は洗浄して粉骨することが必要になります。もちろんカロート内に散骨は可能ですが古くからあるお山のお寺の墓所以外では最近はあまり散骨することは少なくなっているように感じます。(墓所のリフォームや墓じまいの際に余計大変になるので…)個人的には水に浸かったまま骨壺の中でお骨を放置するのはどうかなと思う部分もあるのですが。
最近のお墓は大雨による水没やカロート内の結露を防ぐ工夫をしたお墓も多くなりピンク色のきれいなままのお骨も増えてきましたが、カロートが一杯になってきたら洗浄粉骨してコンパクトにして納められたり一部のお骨やご粉骨を残してあとは無縁洞や有縁洞に納めることが望まれているようです。
普段は気に欠けることの少ないご先祖様ですが、お彼岸やお盆の際には綺麗にお風呂(洗浄)にいれてさしあげて化粧(ご粉骨)をして納めなおして差し上げるのも先々を含め良いご供養になりますので考えてみてはいかがでしょうか。